↑[好きだったシーン]
肝試し中に儀三郎が野良犬に襲われ負傷、想いを寄せる小夜子に傷の手当(口で毒を吸い出す)をしてもらうのを見ていた峰治と又八の会話。
まるで見てはならぬものを見てしまったように放心状態の二人。
峰治「儀三郎、俺たちより大人になってしまったな」
又八「な、お前みたいに顔に軟膏貼ってるヤツとは、もう違うよな」
峰治「儀三郎に会ったら、何処見ていいか分からん」
又八「少なくとも、俺、足は見れない」
峰治「な。」
又八「儀三郎、立派に死ねるかな?大事な小夜子さんを残して」
峰治「かえって立派に死ねる。」
又八「どうして?」
峰治「大事な人を守るため」
又八「そうか。」
峰治「なんか、儀三郎、遠くへ行ってしまった気がしないか?」
又八「する…。」
戸外でオンナと言葉を交えてはならない少年達の純情が可愛い。
こんなまっすぐで可愛い子たちを戦場に送らなければならない時代
こんなまっすぐで可愛い子たちが死んでいく戦。
時代背景、母親の葛藤を丁寧に描いた前半を受けて、後半一気に悲惨な結末へと…。
上層部のプライドによって決断が遅れ、犠牲者を増やすという負け戦のパターン。
今回のテーマは反戦というより「生きる意味」
「生きていれば必ず雨は上がり、キレイな空が見られる」
人はそうして生きて来たし、そうして生きていくのだということ。
「金や出世などその場限りじゃ、それより自分の生まれた時代の中で自分は何が出来るのか、慎ましくてもそうやって生きておれば必ず気品のある死に方ができる。」(峰治の母)
「死んでいく者の痛さや苦しみは一瞬、残されたもののそれは一生。」(峰治の父)
「眠っている力を叩き起こさなければ人として生まれて来ても面白くないゾ。」(白虎隊隊長)
少年たちを育てるオトナのセリフの端々に、現代の迷える若者へのメッセージが込められた内館牧子脚本が巧い。それを聞く耳と理解するアタマがあれば何かに気づくはず。